「私はこのまま、この会社にいて本当にいいのだろうか?」
「もうこんな会社、辞めてしまいたい。でもそれって、もったいないことなんだろうか?」
仕事がつらい、仕事が自分にあわないと思ったら、誰しもが仕事を辞めることを考えるでしょう。
しかし、実際に仕事を辞めるとなると、とても勇気がいることですよね。
特に長年勤めた会社を辞めるとなれば、「キャリアを捨てる」ことが人生にとって有益なのか判断が揺らぎます。
私は今の会社に10年以上勤めてきましたが、新人の頃の辞めたいという気持ちを乗り越えてから、惰性で辞めずにここまで来ました。最近は主にパワハラや自分が意図しない目標管理を強いられることに嫌気がさし、今までで一番仕事を辞めたいと思うようになりました。
しかし、いざ転職するとなると、それはとても決断のいることだったのです。そんな時、まこなり社長がyoutubeで紹介されていた「転職の思考法」を知りました。すぐに購入し、届いたその日のうちに読破しました。
転職に悩んでいる方、今の会社でよいのか悩んでいる方、仕事を辞める決断がなかなかつかない方は是非読んでいただきたい本です。
この記事では、この本があなたの人生にどのように役に立つのかを詳しく解説していきます。
このまま今の会社にいていいのか?と思ったら読む本「転職の思考法」 北野唯我 著 概要
著者:北野唯我
出版:ダイヤモンド社
初版:2018年6月20日
大きさ:四六判(188mm×130mm)
重さ:278g
頁数:258ページ
kindle版:あり→転職の思考法
「転職の思考法」がおススメなのはこんな人
「転職って、実際はどういう活動をすればいいんだろう」
「いい会社の見極め方って?またブラック企業だったらどうしよう…」
「転職で失敗したくないから、今の会社を辞める踏ん切りがつかない」
何故私たちは、転職をためらうのでしょうか?
その理由は、日本で転職へのイメージがあまりいいものではないから、ということに尽きます。
転職を繰り返す人は、居つかない人、続かない人、会社への貢献感がない人、というネガティブなイメージがあるのです。
しかし欧米では、転職はスキルアップとして寧ろポジティブに捉えられます。
日本は今まで終身雇用が基本でした。
しかし大企業が副業解禁をどんどん推進していく中、終身雇用の概念は覆されつつあります。
今の会社にしがみつくことが、最善だとは言い切れない。これが、今の日本なのです。
しかし、そうは言っても私たちは、初めての転職に戸惑いが多くありますよね。
この「転職の思考法」は、そんな悩める皆さんにとっての良きバイブルとなるでしょう。
筆者(北野唯我)の紹介
北野唯我(きたのゆいが)
この「転職の思考法」はデビュー作にして15万部の売り上げ、その次に出された「天才を殺す凡人」も9.5万部と驚異的なベストセラーを生み出しています(2019年8月現在)
またTwitterアカウント(@yuigak)でも日本人の働き方についてツイートされており、様々な媒体で発信されている方です。
「転職の思考法」の特徴
構成と読みやすさ、読了時間
「転職の思考法」は縦書き、モノクロ、そして登場人物が出てくる小説仕立てで構成されております。物語を読んでいるような解説方法なので、すらすらと読むことができます。
登場人物は主に、以下の4名です。
青野:転職を考えているが、なかなか踏ん切りがつかない会社員。主人公。
黒岩:青野に『転職の思考法』を50万円で教えてくれると言う、コンサルタント。
横田:青野の同期。一足先に転職活動中。
本間:青野が所属している部署の部長。転職は裏切り者がすることだと思っている。
皆さんはこの本を通して、青野が50万円支払って教えてもらう『転職の思考法』を一緒に勉強していくことになります。青野の心理状況は皆さんが転職に悩んでいる状況に似ているため、共感できる台詞や状況がたくさん出てきます。
例えば以下のセリフには、皆さん同じ思いを持っているのではないでしょうか。
金曜日だけを楽しみに生きている。それでいいのだろうか。
定年まで逃げ切ることしか考えていない。それでいいのだろうか。
言われた仕事以外はだれも責任を取りたがらない。それでいいのだろうか。※「転職の思考法」プロローグより引用
物語形式の為、読了時間は3時間ほどでした。
また、話の途中でまとめ(青野のメモ)が記載されているため、重要なポイントを復習しながら読むことができます。読者が理解しながら先に進めるような工夫がされており、読んでいて「親切だな」と感じました。
本の持ち運びやすさ
大きさはビジネス書に多く使われている四六判(188mm×130mm)で、重さは278gです。
大きさとかそういうことよりも問題なのは、本の表紙ですね。
「転職の思考法」というタイトルが「でかでかと」出ているので、通勤中に読むにはちょっとハードルが高すぎます(笑)職場の人に見つかったら気まずいかも…。
どうしても通勤中に読みたい方は、kindle版をお勧めします。
「転職の思考法」の感想と見どころ
私がこの本を読もうと思ったきっかけ
今の仕事に見切りをつけて、転職または独立しようと思った2018年10月、ブログを始める決意をしました。
そして2019年8月、この仕事を辞する期限を「次年度内(2021年3月)」と決め、転職活動を開始しました。
しかし初めての転職活動。失敗しないためにはどうしたらいいのか、どういうスタンスで挑めばいいのか全く分からず、気持ちばかりが焦っていました。
そんな時、マコなり社長の、このyoutubeを見たのです。
この動画の冒頭で紹介されているのが、この「転職の思考法」です。
マコなり社長が手放しで、一冊の本に対してこんなに高く評価していることは珍しいので、すぐにポチりました。
この本の見どころ、大事なポイント3つ
この本はまさに「転職の思考法」が要所要所に盛り込まれているため、3つに絞るのはなかなか難しいですが、私が転職初心者にとって特に大事だと思った部分を3つチョイスしました。
一言でキャリアと言っても、その中身は多種多様です。
しかもその中身を成熟させるベストタイミングがある、とこの本では紹介されています。
専門性、つまり技術や専門的知識のこと。特に女性は20代のうちにこの専門性を身に着ける必要があると説明されています。それは何故か?結婚や出産など、一時的に職務を退く機会が多い女性は、若いころに専門性を身につけておかなければ、その後のキャリアの幅が狭まるからです。
経験、これに関しては意外と重要視していない人が多いかもしれません。しかし、市場価値としての経験は大きな意味を持つとこの本で説明されています。転職を考えた時、自分はなんて「専門的キャリアがないんだろう」と嘆く人は多いと思います。しかし、キャリアとは専門的技術や知識だけではないと気づかされます。プロジェクトを率いた経験、大企業と取引した経験、逆境を乗り越えた経験。転職において仕事でどんな経験をしてきたか、はキーであると気づきました。
人脈、あまりキャリアとは結び付かないのでは?と思いがちですが、この人的資源は40代で特に重要だと述べられています。本文中で、「たとえば、君がもし転職したとしても、変わらず仕事をくれる人はいるか?」と黒岩は問いかけます。これを聞いて、ハッとした人は少なくないと思います。
これがまさに人的資源、人脈のキャリアということです。
人脈とは、もしかしたら仕事以外のことも役に立つ時が来るかもしれません。趣味の仲間、同級生、元同僚など、「あなたが言うなら任せてみようかな?」と思ってくれる人はどれだけいるでしょうか。
転職をする、しないにかかわらず、このキャリアの3要素について覚えておくことは、決して損ではないと思います。
仕事の寿命、という考え方自体したことがなかったのでものすごくハッとしました。
そして、新しい仕事を見つけるうえでの判断基準も、この「仕事の寿命」であると気づかされます。
AIが活躍するこの時代。機械があなたの役割を取って代わる仕事は、ますます増えていくでしょう。
私は先日ユニクロへ買い物に行ったんですが、レジ係のスタッフは一人もいなくなっていました。商品を入れたカゴを、読み取り機械のある場所に置くだけで計算が終了し、現金かクレジットを精算機に入れるだけ。袋詰めはセルフで行います。
この例だけでも、寿命がある仕事、今後成長する仕事は何かがわかりますよね。
寿命がある仕事=レジ打ちの仕事
今後成長する仕事=自動計算のAI開発
今行っている仕事は、今後も残り続ける・成長し続ける仕事でしょうか?
その会社にしがみついていて、本当に良いのでしょうか?
銀行や保険なんかも、今はネットで簡単に口座を作ったり契約を結ぶことができます。
もちろん、なんでもかんでもITが良くて、IT分野だけが成長していくとは限りません。
ITばかりの世の中になったからこそ、人と人とのかかわりが重要になっていくものもあります。
そういうことに着眼できている会社を見分けられるようになるのも、良い転職をつかむカギだと築かされました。
転職エージェントがなぜその会社を強く薦めるのか?を考えること。
「転職する=転職サイトやエージェントに登録すること」だと思っていました。しかし、この本を読んで、その考え方は根本的に間違っていると気づかされました。
本当に優れた会社、例えばGoogleなどはわざわざ人材不足で転職サイトに求人を載せるでしょうか?載せないですよね。それは自然に人が集まってくる、求人を上回る就職希望者が集まるからです。
同じことが転職エージェントでも言えます。転職エージェントは、なぜ仕事が成り立つのでしょうか?仲介料がもらえるからですよね。
転職エージェントに登録するとわかりますが、毎日メールや電話が山のように来ます。こんなに求人が多くあるのは、人材を求めている会社が多くあるからですが、どうして求人がこんなにあってなくならないのでしょう。会社を辞める人がいるからですよね。そしてエージェントに高いお金を払ってでも、人材が欲しいという切迫した理由があるのです。
このように、仲介する業者が存在するものに関しては、裏には「儲かるか・儲からないか」というからくりが必ずあります。保険、不動産、転職…。こういう複数の物から選んでもらって契約を結ぶ者にはマージンが必ずかかります。
「その人のためを思って」よい保険、物件、職場を斡旋してくれる人もいれば、マージンが高いからという理由で斡旋する人もいる、ということを忘れてはいけません。
転職先は、転職サイトに載っているものだけとは限らないということを知ることは、失敗しない転職を避けるために重要だと感じました。
転職サイトを見ていると、自分の実績と求人募集の要件があわなかったり、給与が今より高くなかったりと、理想と現実の差に愕然とすることがあります。まさに今の私がそうでした。しかし、この転職の思考法を読んで、転職の幅を狭めてしまう必要性はないんだ、と安心することができました。
この本の中で心に残ったフレーズ
「転職が悪だというのは、新たな選択肢を手に入れる努力を放棄した人間が発明した、姑息な言い訳に過ぎない。人間には居場所を選ぶ権利がある。転職は「善」なんだよ。個人にとっても、社会にとっても。」
引用:「転職の思考法」第2章「転職は悪」は努力を放棄したものの言い訳に過ぎない
日本では、終身雇用が根強いことから「転職=悪」という価値観がいまだ蔓延しています。しかし、終身雇用が崩れ、大企業も副業を認可し始めた今だからこそ、「転職=善」という考え方が広まっていくべきだな、と自分も感じました。
どうしても転職というと、後ろ暗いイメージが付きがちです。私の会社でも、「仕事を辞める」「転職活動をしている」という言葉は、在職中に使うことをタブー視されています。そのため引継ぎが直前になってしまうことも少なくありません。
何故、仕事を辞めることを隠す必要があるのか。私は長年、疑問に思っていました。
会社の士気が下がる、辞める人に仕事を振りずらい、などの理由があるかもしれません。しかし一番の理由は「転職=悪」という価値観なのかもしれないな、とこの本を読んで感じました。
「仕事を楽しむ人間が使う言葉は二種類に分けられることがわかった。」
・to do(コト)に重きを置く人間…何をするのか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている
・being(状態)に重きを置く人間…どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する「99%の人間は君と同じbeing型なんだ。そして99%の人間は『心からやりたいこと』という幻想を探し求めて、さまようことが多い。なぜなら世の中にあふれている成功哲学は、たった1%しかいないto do型の人間が書いたものだからな。」
「好きなことはあるということは素晴らしいことだが。だが、ないからと言って悲観する必要は全くない。なぜなら『ある程度やりたいこと』は必ず見つかるからだ。」
引用:「転職の思考法」第4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?
やりたいことが見つからない。何が好きなのかわからない。好きなものを仕事にしたい。
そう思って仕事を決められなかったり、転職先を決めかねる人は沢山いると思います。
しかし、この文章を読んで、「生涯を通して好きなことを見つける必要性はなかったんだ!」ということに気づきました。
世の中の1%の成功者(to do型)の人たちの成功本を読んでも、ピンとこない理由はここにあったんですね。私はあえてそういう本を読まないようにしていましたが、読まなくてよかったなと思いました(笑)
では99%のbeing型の人間が、仕事を楽しむ方法はなんなのか?それについては是非、転職の思考法を買ってご自身で確かめてください。
この本を読んだ感想と変わった私の行動
まず、物は試しと「転職エージェント」に登録し、同時にこの本を読み進めました。
転職エージェントからは、自分が全く希望していないような企業を勝手に勧めはじめていたので、この本の読んだ筋書き通り「ああ、本に書いてあったやつね」と冷静に判断できました。
もちろん、転職エージェントに登録したことにより、どのような企業が登録しているのか、給与の相場はどれくらいなのか、必須としているキャリアはなんなのか、を見ることができたので、無駄ではなかったと思います。
転職の思考法を読むことによって、転職サイト・エージェントだけではない企業にも目を向ける、という考え方を身に付けられたことは強みになったと感じました。どうしても人は「この中から選ばなければならない」という枠にはめられると、視野が狭くなってしまいます。
今後成長する分野は何か、自分のキャリアを発揮できる他分野はないか、そもそも仕事とはどう向き合っていくのか…。
この転職の思考法は、転職のことののみならず、「人生においての仕事とは何か?」という大きな命題への答えが載っていると感じました。
「転職の思考法」の目次
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む「転職の思考法」目次
プロローグ このままでいいわけがない。だけど…
「漠然とした不安」の正体第1章 仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ
「一生食える」を確保する4つのステップSTEP1 自分の「マーケットバリュー」を測る
STEP2 今の仕事の「寿命」を知る
STEP3 強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする
STEP4 伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める第2章 「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
「組織の論理」が人の心を殺すとき第3章 あなたがいなくなっても、確実に会社は回る
残される社員、ついてくるパートナーとどう向き合うか第4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?
心から納得のいく仕事を見つけるために必要なこと
まとめ
今回は、「転職の思考法」について紹介しました。
転職を考えている人、「今の職場のままで本当にいいのかな?」と思った人にはぜひ読んでいただきたい本です。
転職が初めてな人にとっては、転職とは未知の領域。どうしたらよいのか、わからないと思います。そんな時に、まずは最初に手に取って間違いない本だと思います。
今回の引用文を読むだけでも、学びになるところは十分にあると思いますので、是非手に取って読んでいただけると嬉しいです!
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