昨日、X-MEN ダークフェニックスを見てきました。
私実は、X-MENシリーズをちゃんと見たことがないので、人物像とかがいまいちわかってないんです。なので内容について、今までのストーリーの概要とかはよくわかってません(ファンの方、申し訳ない)
ですので今回は、今作を見て気になった部分について掘り下げてみたいと思います。
このコラムはネタバレを含みますので、
「もうX-MEN ダークフェニックスを見た人」
「ネタバレがあっても気にしない人」
「X-MEN ダークフェニックスを今後、見るつもりはない人」
「X-MENって何?」
っていう人だけ読んでください。
X-MEN ダーク・フェニックスから、危機モデルを考える【ネタバレあり】
今作の概要をめちゃくちゃざっくりと書きます
X-MENはミュータント(特殊能力を持っている人間)で構成された戦う集団。
特殊能力を持たない人間が乗ったスペースシャトル(宇宙船)が太陽フレアのせいで制御を失い、それを助けに行くX-MEN。無事に船員を助けることができたが、X-MENのジーン・グレイはその太陽フレアを浴び、死ぬことはなかったがその強大な力を吸収してしまった。
力を制御できなくなったジーンは、自分の心の中にロックされていた壁を突破してしまう。その壁の向こうに隠された記憶とは、「自分の特殊能力のせいで母親が死に、死んだと言われていた父親は生きている」という事実だった。
そのジーンの心の壁を作ったのは、X-MENのトップであるプロフェッサーXだった。
プロフェッサーXは、幼いジーンの精神が保てるようにと心の壁を作ったのである。
嘘をつかれていたと悟ったジーンは父親のもとを訪ねるが、父親は自分を探していたわけではなく、自分を捨てたと言うことに気づいてしまい、力を暴走させてしまう。
いろいろあって(超中略)
最終的に、ジーンはプロフェッサーXが家族として迎え入れてくれていたことに気づき、我を取り戻す。そして、地球を守るために、家族を守るために、自分の力を使って敵を倒した。
彼女は本物のフェニックスになった。
完
辛い過去を閉じ込めたまま生きるのが幸せか 過去を抱えながら生きるのが幸せか
概要は上記で書いたような感じですが、私が引っ掛かったのは、プロフェッサーXがジーンの辛い過去を封印して彼女の心を守ったというところです。
最終的にプロフェッサーXは、自分の行いは誤りだったと気づくわけですが、あなただったらどうでしょう?もし人の心の中に入り込んで、記憶を操作できるとしたら、あなたはしますか?しませんか?
ジーンは隠されていた記憶が一気によみがえったことによって、騙された、嘘をつかれていたという憤りの感情を爆発させていました。
辛い過去を引きずりながら生きていくことはつらいことです。
「自分のせいで」こうなってしまったと思うならなおさらです。
もしその出来事が突発的なことで、どうしようもないことだったとしても、人間は「自分があの時ああしていれば」と思い悩みます。
しかし、その人に辛い過去があったとして、それをどう捉えるかはその人次第です。
「過去に辛いことがあったが、生きている自分は精一杯生きよう」と思うのか、
「過去の辛いことがあったから、私はこんな人生しか歩めない」と人生の幅を狭めるのかはその人次第なのです。
これは、私が愛読しているアドラー心理学の「嫌われる勇気」にも書いてあります。
過去の辛い出来事を少しずつ消化して今までの人生を歩んできた人と、ずっと隠されたまま突然その事実を突きつけられた人では、ショックに対する受容が変わってきます。
ジーンも、いきなり衝撃的な事実を突きつけられて、ショックを受けて自制心を失いました。
この物語は、最終的にジーンはそのショックを昇華して、人類を守るという選択肢を選ぶわけですが、この話、危機モデルにそのまま当てはまるんですよね。ちょっと考えてみましょう。
危機モデルとX-MEN ダークフェニックス
「危機モデル」とは何かしらのショックな出来事が起こった時に、人間がどのように受容していくのかというのを現したモデルのことです。フィンクが提唱した危機モデルが良く用いられます。
その段階というのが、「衝撃」「防衛的退行」「承認」「適応」です。
難しい用語を並べてもわからないと思うので、映画の構成に当てはめてみますね。
「衝撃」の段階:ショックな状態、パニックになる
ジーンは自分のせいで母親が死んだという事実を知ってショックを受ける
なんで事実を隠していたんだ、と自分の力を制御できずパニックになる
「防衛的退行」の段階:現実逃避する 希望を抱く
生きていた父親は自分を探してくれていたと希望を抱く
マグニートー(昔敵だったが、今は隠居生活をしている)なら自分をわかってくれると期待する
「承認」の段階:抑うつ 悲嘆 怒り
プロフェッサーXは自分をだまして利用していたんだと怒りを覚える
自分の強大な力がいけないんだ、自分が悪いんだと悲嘆する
「適応」の段階:新しい自分と向き合う 新しい価値観を見出す
自分の新たな力を利用して敵を倒す
「事実を隠されていた自分」ではなく「家族として迎え入れられていた自分」として捉えなおす
人間は危機モデルの段階を経て、危機を乗り越えていく
全ての人が乗り越えられるとは言いません。乗り越えられない人は、どの段階で乗り越えられなかったかによってその後の行動が変わってきます。
「衝撃」の段階で乗り越えられなかった人は、そのまま心を病んでしまうし
「防衛的退行」の段階で乗り越えられなかった人は、現実逃避に走り、宗教や仕事など別の方向にのめりこんでいきます
「承認」の段階で乗り越えられなかった人は、自分の感情を抑圧して、無理に明るく振舞ったり、逆に無気力になっていきます
「適応」の段階で乗り越えられなかった人は、過去の衝撃をトラウマとして受け入れ、自分は過去にこんなことがあったからできない、出来ないのは仕方がない事なんだ、と前に進めなくなります
もちろんその衝撃がどのくらいの大きさかによって乗り越えられる時間はひとそれぞれです。
しかし、人間はその危機を乗り越えていく力があります。
ジーンが乗り越えたように、みんな乗り越えていける力があります。
おわりに
もしこの記事を読んで、ジーンの受容の段階が気になった方、もう一度確認してみたい方は映画館に行ってみてみてくださいね~。2019年6月21日公開なので、まだまだやってると思います。
それでは!
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